「澎湖(ほうこ)人」と名づけられていた台湾最古の人類化石が、旧人のデニソワ人の男性だったと、日本と台湾、デンマークの国際共同研究チームが人骨のたんぱく質配列などを分析し明らかにした。同時期に地球上に存在していたネアンデルタール人や現生人類のホモ・サピエンスに比べ、デニソワ人はあごや歯が頑丈であることがわかった。
謎に包まれていたデニソワ人の姿や分布を明確にする成果だ。10日付の米科学誌サイエンス電子版に報告した。
デニソワ人はシベリアのデニソワ洞窟で見つかった骨や歯の断片から、ゲノム分析によって2010年に存在がわかった旧人。存在を示した独マックス・プランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボ博士は22年にノーベル生理学・医学賞を受けた。
ネアンデルタール人とは別系統の旧人とされるが、これまでに見つかった化石は断片的で、骨格など姿かたちはほぼ不明。ゲノム研究から、アジア東部、特に南東部の現代人の遺伝情報にはデニソワ人由来の要素があり、現代日本人のゲノムにもわずかだが、デニソワ人との交雑の痕跡が残っている。ホモ・サピエンスと数万年前に交雑したと考えられているが、デニソワ人の化石はこれまでシベリアとチベットでしか見つかっていなかった。
一方、台湾本島の西側の澎湖水道の海底で原始的な人類の下あごの化石(19万~1万年前)が見つかったと15年に報告され、独特な形態から「アジア第4の原人」と位置づけられていた。系統を調べるため、化石からDNAを取り出そうとしたが、分解されていてうまくいかなかった。
■たんぱく質から系統分析、性…