皮膚科に行き、処方箋(せん)を出してもらい、かゆみ止めの塗り薬と飲み薬を買った=2024年8月19日、パリ、河崎優子撮影

 フランスとの行き来が増えるパリ五輪・パラリンピックの期間中の水際対策として、韓国の空港で「トコジラミ探知犬」を配備した――。そんな記事を読んだ数日後、パリのホテルで吸血昆虫・トコジラミに全身を刺された。

 フランスでは昨秋、公共交通機関や映画館で発見したという情報がSNSで拡散し、社会問題になったが、自分が遭遇するとは思ってもいなかった。

 ただ、かゆみよりもつらかったのは、周囲の反応だ。トコジラミを見つけたことを清掃担当の女性に伝えると、コソコソ話をされ、翌朝からあいさつも返してくれず、落ち込んだ。結局、ホテルを出て行くことになり、社会から排除されたように感じた。

 そんな中、生まれつき右前腕がなく、左手に障害があるウガンダのパラ水泳選手のフスナ・ククンダクエ(17)を取材した。「(ウガンダで)指をさされ、コソコソ話をされ、時には障害をばかにされて笑われた。自分は受け入れられていないと感じた」と語った。

 大会最年少の14歳で東京パラリンピックに出場し、彼女は「人として、パラリンピアンとして、見られるようになった」と振り返る。長袖を着て、右腕を隠すのをやめた。

 彼女の姿を見て、相手を尊重する社会の大切さを実感し、大会を通して広がって欲しいと思った。(河崎優子)

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