幼い頃から目に見えないパワーに惹(ひ)かれた。初詣は神社や寺院をハシゴ。還暦間近の今も朝、新聞の星占い欄を真っ先に見る。そんな私が、パワースポットブームで「東国三社参り」が人気と聞きつけた。訪ねるしかない。
「このトライアングルを見てください」
利根川の北を流れる常陸利根川のそば、息栖(いきす)神社(茨城県神栖市)の社務所。大塚光男さん(75)が1枚の紙を広げた。独自の視点で神社の探究と考察を重ねている氏子総代だ。
古い地図のコピー上に赤線で正三角形が描かれている。三つの頂点には息栖神社と鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)、香取神宮(千葉県香取市)の東国三社が。
大塚総代いわく大昔、息栖神社の前身は現在地より東の神栖市日川(にっかわ)にあった。当時の東国三社の位置関係は1辺約12キロの正三角形だった。ここに遷座してからは二等辺三角形だという。
大塚総代、目を輝かせて「このトライアングルが巨大パワースポットなのでは? さらに富士山と……」。私も思わず身を乗り出す。「いきなり壮大なファンタジーきたぁ!」と心躍る展開だ。
かつては海のほとりだった
愛車を駆って利根川を渡り…