架装物の製品が装着された特装車=極東開発工業のホームページより

 トラックの荷台部分に積載する装備「架装物」などの販売をめぐってカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会は近く、架装物などの製造・販売4社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、うち2社に排除措置命令と計約59億2500万円の課徴金納付命令を出す方針を固めた。関係者への取材でわかった。

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 4社は極東開発工業(大阪市)とその完全子会社の日本トレクス(愛知県豊川市)、新明和工業(兵庫県宝塚市)とその完全子会社の東邦車両(横浜市)。新明和と東邦車両は課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づき、公取委の調査前に違反を申請していたとみられ、命令は免れる見通し。

ダンプカーやタンクローリー、ごみ収集車など

 4社はダンプカー、コンテナ車、タンクローリー、ミキサー車、ごみ収集車といった「特装車」の架装物や、トレーラーの後部車両を製造、販売し、シェアの大半を占めるという。

 関係者によると、遅くとも2021年9月以降、親会社2社は架装物に関し、子会社2社はトレーラーの後部車両に関し、それぞれ販売価格をめぐって担当者が情報交換を繰り返し、複数回にわたり値上げするカルテルを結んだ。原材料となる鋼材価格の高騰を背景に、価格をつり上げる狙いがあったとみられる。

 架装物などの販売先はディーラー、運送・建設会社、自治体など。不当に引き上げられた価格分はコスト増加分として運送費や建設費に転嫁され、最終的に消費者の負担につながっていた可能性がある。

 極東開発は30日、自社と子会社の日本トレクスが公取委から処分案の通知書を受け取ったことをホームページ上で明らかにし、「グループを挙げてコンプライアンスの強化・徹底に努める」とするコメントを出した。

 公取委は両社から意見を聴取した後に結論を出す。

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