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判決に喜ぶ愛知県春日井市議の小嶋小百合さん(右端)と支援者ら=2025年6月25日午後2時18分、名古屋市中区、石垣明真撮影

 男性として生まれ、女性として生きるトランスジェンダーの愛知県春日井市議、小嶋小百合さん(71)が「おっさん」などと発言されて精神的苦痛を受けたとして、当時、市議会議長だった村上慎二郎市議(54)に150万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁(大竹敬人裁判長)は25日、言動について不法行為を認めて村上市議に17万円を支払うよう命じた。

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 小嶋さんは性同一性障害の診断を受け、性別適合手術などを行い、法律上の性別を女性に変更している。判決によると、2024年1月にあった市議らが参加する懇親会で、村上市議は、小嶋さんが以前、つまようじを使いながらパソコンを打っていたことを話題にし、「おっさん」などと発言した。当時、2人が所属していた会派の中にも、そう思っている市議がいるとの発言もあったという。

 判決は、発言について、小嶋さんが中高年男性のようだと指摘するだけでなく、トランスジェンダー当事者を揶揄(やゆ)するものだと判断。そうした発言を繰り返し、複数人が聞いたことで小嶋さんが多大な不快感を抱いたと認定。社会的に許容できる限度を超えた侮辱にあたり、小嶋さんの名誉感情を違法に侵害したと結論づけた。一方、賠償額については村上市議がおわびのメッセージを送っていることも考慮した。

 村上市議は「判決文を読んで弁護士と今後のことを相談したい」とのコメントを出した。

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