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トランプ米大統領(左)とシリア暫定政権のシャラア大統領を並べた写真=AP

 トランプ米大統領は14日、訪問先のサウジアラビアで、シリア暫定政権のシャラア大統領と初めて面会した。ホワイトハウスが発表した。シリアに厳しい制裁をかけてきた米国にとっては、大きな方針転換となる。

 ホワイトハウス高官によると、面会は14日朝、約30分にわたって行われた。発表によると、面会はサウジのムハンマド皇太子の招待を受けたもので、トルコのエルドアン大統領も電話で参加した。皇太子とエルドアン氏は前日トランプ氏が表明した制裁解除を同氏に持ちかけていた。

 面会でトランプ氏はシャラア氏に「自国で歴史的な偉業を成し遂げる絶好の機会がある」と伝えた上で、①イスラエルと関係を正常化する「アブラハム合意」への署名②外国のテロリストにシリアからの撤退を指示③パレスチナ人テロリストの追放④過激派組織「イスラム国」(IS)再興を阻止するために米国を支援⑤シリア北東部のIS収容施設の責任引き受け――の5点を要請したという。

 その後、湾岸諸国の首脳らとの会合に出席したトランプ氏は、「我々は現在、シリアの新政府との関係正常化を探っている。シャラア大統領との面会を皮切りに、彼らに新たなスタートを切らせるために、シリアに対する制裁の停止を命じる」などと語った。今後の見通しについては「簡単にはいかないだろう。だから、彼らに良い、強力なチャンスを与える。シリアへの制裁をすべて取りやめることになるが、これは本当に良いことだと思う」と述べた。

 トランプ氏は13日、シリアに対する米国の制裁を近く解除する考えを明らかにしていた。

 米国は2011年に始まった反政府運動をアサド政権が激しく弾圧したことを受け、政府資産の凍結や投資・取引の禁止など、段階的に制裁措置を強化してきた。その結果、シリアは世界の金融システムから切り離されて外国から資金が入らなくなり、昨年12月にアサド政権が崩壊した後も復興が進まない主な原因だといわれてきた。

 10年以上続いた内戦で荒廃したシリアにとっては、国の再建に弾みがつくとの期待が高まっている。

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