Taking Aim at Smithsonian, Trump Wades Into Race and Biology
トランプ米大統領は3月27日に、(首都ワシントンで多くの博物館、美術館を運営する)スミソニアン協会を批判する大統領令を出した。協会が「社会を分断する人種中心のイデオロギー[divisive, race-centered ideology]の影響下にある」としている。大統領令で特に名指しされたのが、スミソニアン・アメリカ美術館で開催中の彫刻展だった。
「権力の形:人種とアメリカの彫刻の物語」と題されたこの展示は、過去200年以上にわたり、彫刻がアメリカにおける人種に対する考え方をどのように形づくり、それを反映してきたかを探るものだ。
大統領令はとりわけ、この彫刻展が「人種とは生物学的上の事実[biological reality]ではなく、社会的な概念[social construct]だという見方を助長し、『人種は人間が作り出したものだ』と述べている」と指摘している。
何人かの学者にインタビューしたところ、大統領令は学界の通説に異議を唱えていると思われる、と疑問を呈した。マサチューセッツ大学アマースト校で歴史学を教えているサムエル・J・レッドマン教授は、スミソニアンの展示の中で科学的人種差別主義を担当したが、「この大統領令には問題があり、現在のコンセンサスからずれている」と言う。教授はまた、白人を頂点とする人種のヒエラルキーを作ろうとする疑似科学の試みは、ナチスドイツや優生学運動(訳注:19世紀末から20世紀半ばにかけて先進国で広がった、人種を改良しようとする運動)で見られたものだ、と付け加えた。
- 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」
大統領令で名指しで批判された彫刻展。でも、出品している芸術家たちは、ホワイトハウスの主張に疑問を呈している、とNYTは報じています。社会の分裂を招くどころか、バランスを回復しようとしているのだ、と。
ホワイトハウスにもコメント…