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 世界中のさまざまな情報がオンラインで手に入るようになった今日、公的な記録も例外ではない。ただ、公的なデータや情報が意図的に消されていたら――。

【GLOBE特集】記憶と記録

朝日新聞GLOBEから記事をお届けします。ウェブメディア「GLOBE+」の特集「記憶と記録」も併せてご覧ください。

 「オンライン上のデータは、一瞬で失われる、実にはかないものでもある」。米スタンフォード大学でライブラリアン(司書)を務めるジェームズ・ジェイコブスさん(59)はそう警鐘を鳴らす。ジェイコブスさんは、米国の大学図書館などが2008年のブッシュ政権末期から取り組む、政権終了時の政府サイトを保存するプロジェクト「End of Term Web Archive(EOT<<政権移行期>>ウェブアーカイブ)」のメンバーでもある。

 11月の大統領選前の10月から、翌年1月の大統領就任を経て5月ごろまでの約8カ月をかけて、米政府関連の「.gov」や米国防総省関連の「.mil」などのウェブサイトのデータを収集、保存する。公的データや情報は「民主主義の根幹」であり、「党派に関係なく、公共の利益のために行うプロジェクトだ」と説明する。

 社会のオンライン化が進むとともに、収集するデータ量も増加。08~09年(ブッシュ→オバマ政権)は15テラバイト(TB)だった総データは、16~17年(オバマ→トランプ政権)は139TB、20~21年(トランプ→バイデン政権)は266TBに増え、24~25年の今回(バイデン→トランプ政権)は2千TB、つまり2ペタバイト(PB)に上った。

米スタンフォード大学のライブラリアン(司書)ジェームズ・ジェイコブスさん=2025年6月、サンフランシスコ、荒ちひろ撮影

 政権交代に伴い、政府サイトの内容が多少変わったり、新たなページができたりすることは、これまでもあった。だが、今回は様相が異なるという。「トランプ政権への移行に前後して、多くの政府サイトが消されている。公的な情報やその管理についての認識が、これまでとは大きく異なっている」とジェイコブスさんは懸念を示す。

この時代だけ「ブラックホール」に

 例えば、トランプ政権2期目…

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