ハーバード大学=2025年5月29日午後1時6分、米マサチューセッツ州ケンブリッジ、田中恭太撮影

 米ハーバード大が、トランプ政権に約22億ドル(約3260億円)にのぼる助成金を凍結されたのは違法だと訴えていた訴訟で、マサチューセッツ州の連邦地裁は3日、凍結は憲法などに違反し、無効だとする判断を示した。

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 政権は同大について「反ユダヤ主義的な差別」への取り組みが不十分だと主張。4月の書簡で、反ユダヤ主義を防ぐ監査の導入や、DEI(多様性・公平性・包摂性)の取り組みの中止など、10項目の要求を突きつけた。同大が要求を拒否したことを受け、政権は助成金の凍結などの対応を取った。これに同大が提訴し、全面対決の様相が続いていた。

 地裁は3日の判断で「反ユダヤ主義は、ほかの差別や偏見と同様、容認できるものではない」としつつ、「助成金停止の影響を受けた研究と反ユダヤ主義には、ほとんど関係性がない」と指摘。「被告(政権側)が反ユダヤ主義を、この国の主要大学に対する、イデオロギー的動機に基づく攻撃を隠す煙幕として使っていると結論づけるほかない」と述べた。

 米メディアでは、政権と同大は「和解」に向けて水面下で協議を続けていると報じられ、同大が5億ドル(約740億円)を拠出する内容が盛り込まれているとの報道もあった。米紙ニューヨーク・タイムズは、今回の司法判断により、同大が交渉で有利になる可能性があると伝えている。

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