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トランプ米大統領(左)とグテーレス国連事務総長

 米国のトランプ政権が、国連への拠出額を大幅に削減する方針を示したことに衝撃が広がっている。一方、国連自体もトランプ氏の復権を受ける形で「改革」に乗り出した。国連はどうなるのか。

分担金は「ほとんど」、任意拠出金は「すべて」停止

 「国連やその他の国際機関に対するほとんどの分担金と、すべての任意拠出金を停止する」

 トランプ政権は5月2日、連邦議会に対する次の会計年度(2025年10月~26年9月)の予算要望の一部を明らかにし、こう宣言した。国連関係で、計33.3億ドル(約4750億円)を減らす内容が盛り込まれていた。

 「米国第一」を掲げる政権は多国間協力や対外援助に後ろ向きだ。高額な負担を理由にした世界保健機関(WHO)脱退、「反ユダヤ主義」と指摘した国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出停止などを表明していたが、今回はその範囲や規模を大きく広げた形となる。

 国連や関連機関は主に、各国の経済規模などをもとに算出される「分担金」や「任意拠出金」で運営されているが、米国の存在感は突出している。

 国連事務局の予算(25年は約37.2億ドル=約5310億円)を見ると、分担金での米国の負担率は22%。別枠の平和維持活動(PKO)の予算(25会計年度は約56億ドル=約7990億円)でも約27%で、いずれも最大になっている。しかも、世界食糧計画(WFP)や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は24年時点で収入の約4割を米国の任意拠出金で賄っていて、トランプ政権の動向は死活問題だ。

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米ニューヨークの国連本部前で、風にたなびく米国の星条旗

国連関係者に驚き広がる

 国連に詳しい、シンクタンク…

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