Trump Promised to Release His Medical Records. He Still Won’t Do It.
トランプ前大統領は、大統領候補だった2015年、自身の医療記録を公開することを避け、代わりに主治医が作成した4段落からなる書簡を公表した。主治医はその中で、「史上最も健康な大統領当選者」になるだろう、とトランプ氏の健康に太鼓判を押した。
20年、再選を目指していたトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染して入院した際、医師団は容体について最小限の情報しか開示しなかった。しかし、実際の容体は公表された内容よりはるかに深刻であったことが、後に明らかになった。
24年に3度目の共和党大統領候補の指名を受ける数日前、トランプ氏は暗殺を企てる人物の銃弾を受けて負傷した。それでも、選挙陣営は彼の容体についての記者ブリーフィングを開かず、医療記録も開示せず、治療に当たった救急医がメディアのインタビューに応じることも認めなかった。
78歳のトランプ氏が当選すれば、米国史上最年長の大統領となる(任期を終える29年1月末には82歳7カ月6日)。しかし、大統領選まで約1カ月となった現時点で、トランプ氏は自身の健康状態に関するごく基本的な情報さえも、公開を拒んでいる。
トランプ氏が勝利すれば、健康上のさまざまな潜在的リスクが大統領執務室に持ち込まれる可能性がある、と医療専門家たちは指摘する。とりわけ、心臓のリスク要因[cardiac risk factors]や、今年7月の暗殺未遂事件による後遺症の可能性、自然な加齢現象としての認知機能の低下[cognitive decline]などが挙げられる。
年齢問題は、再選を目指していたバイデン大統領の職務能力を判断する有権者にとって大きな懸念材料となっていた。今年6月の大統領討論会で、バイデン氏は明瞭に話すことができないことを露呈し、再選を目指す選挙戦からの撤退に追い込まれる結果となった。それを受けて、突然20歳近く年下の候補(訳注:ハリス氏のこと)と対戦することになったトランプ氏は、8月に米CBSニュースの取材に対し、健康診断を受けたばかりであることを明かし、「非常に喜んで」医療記録を公開すると語った。
ニューヨーク・タイムズがトランプ氏側に医療記録の写しの提供を求めたところ、同氏の広報担当者から、トランプ氏の元主治医で現在は共和党の連邦議会議員である人物が、暗殺未遂事件の1週間後に書いた1ページの書簡を読んでほしいとの回答が寄せられた。その手紙には、銃弾による耳の負傷とその治癒経過が記されていた。NYTは多数の追加質問を広報担当者に送ったが、彼女から回答はなかった。
トランプ氏の健康状態について、現時点で分かっていること、分かっていないことをまとめると、以下のようになる。
心機能
トランプ氏の健康状態について最も詳しく明らかになったのは、18年1月にトランプ氏が大統領就任後初めての健康診断を受け、ホワイトハウスのロニー・ジャクソン医師が記者たちに結果を説明したときだ。
トランプ氏の血圧は上(収縮期血圧)が122、下(拡張期血圧)が74で正常、心臓の超音波検査の結果も正常だった。しかし、コレステロール値は懸念されるほど高く、BMI[body mass index]は医学的な肥満基準値をかろうじて0.1ポイント下回っていた。
- 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」
トランプ氏は自身の健康データの開示をかたくなに拒んできました。NYTによると、育毛剤を服用していることを長年の主治医が明らかにした際には、大統領補佐官らがこの医師の事務所を家捜しして、記録を全部持ち帰ったそうです。
トランプ氏はコレステロール…