Smiley face
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2019年2月、ハノイで握手するトランプ氏(左)と金正恩氏=労働新聞ホームページから

 米国で20日、第2次トランプ政権が誕生しました。トランプ大統領は23日、FOXニュースのインタビューで米朝首脳会談の実現に意欲を示しました。韓国外交省の朝鮮半島平和交渉本部長などを経て、いまは国会議員の金健氏(与党・国民の力所属)は「北朝鮮の核保有を認めれば、NPT(核不拡散条約)体制の崩壊につながる」と警告します。

 ――尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が昨年12月、戒厳令の一つである非常戒厳を出しました。韓国の内外にどのような影響を与えましたか。

 全く予想外で衝撃的な出来事でした。21世紀、成熟した民主主義国家の韓国で戒厳令を出すこと自体、無理がありました。韓国議会は民主主義の強い回復力を見せたと思います。ただ、尹大統領の弾劾(だんがい)によって不安定な政治状況が生まれました。克服しなければならない課題です。

 戒厳令は、経済の不確実性に政治の不確実性を加える直撃弾になりました。外交安保にもよくない影響が出ていますが、この状況が6~8カ月は続くことになります。

【連載】読み解く 世界の安保危機

ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ300人以上の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。

 ――トランプ政権の誕生で、米国の韓国に対する拡大抑止力に不安が生まれませんか。

 トランプ氏のスローガンは「MAGA(米国を再び偉大に)」です。世界秩序に挑戦する中国に対応するため、インド太平洋地域の同盟国に対応を呼びかけるでしょう。

 一方、韓国には2万8千人の在韓米軍と数十万人の米国人が滞在しています。北朝鮮が核兵器を韓国に使うことは、こうした米国人に対する脅威であり、米国は黙っていないでしょう。

 また、米朝協議は核廃絶協議から核軍縮協議には変質しないと思います。核軍縮交渉は北朝鮮の核保有を認めることが前提になります。現在、英米仏中ロ以外に、核を保有するパキスタン、インド、(事実上の保有国の)イスラエルはいずれもNPT未加盟国です。

 しかし、北朝鮮はNPT加盟国として技術支援を受けた後、核兵器を製造してNPT脱退を宣言しました。北朝鮮の核保有を認めることは、NPT体制の崩壊を意味します。一部に韓国の核武装を懸念する声もありますが、現実的ではありません。

「なぜ米国は譲歩しない?」 金正恩氏の疑問

 ――米朝首脳会談は実現しますか。

 トランプ氏は米朝首脳会談を…

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