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トランプ米大統領(左)とベッセント財務長官(中央)、ラトニック商務長官=9日、ワシントン、AFP時事

 トランプ米大統領は、今回打ち出した関税措置を交渉材料に、各国とディール(取引)を行うことにやる気満々だ。衝撃の相互関税発表の翌3日、トランプ氏は大統領専用機「エアフォース・ワン」の機内で、記者団に対し「関税は我々に交渉という偉大なパワーを与えた」と豪語し、もし相手国が「とても驚異的なもの(something that’s so phenomenal)」を米側に差し出すという提案をしてくれば、その相手国と関税削減に向けて前向きに交渉に応じる意向を示した。

 世界はトランプ氏のディール外交に翻弄(ほんろう)されている。9日には、2日に発表した相互関税の税率の一部の適用を90日間にわたって停止することを表明。一方、報復措置を決めた中国に対しては税率を125%まで引き上げることも明らかにした。

 ワシントンで長らく通商政策に携わってきた元米商務省高官は「トランプ氏は、政治とはディールだととらえている」と語る。「我々は政治とは国民に対するサービスの提供だと考えてきた。彼の政治のとらえ方は我々のものとは根本的に違う」

 今後の焦点は、トランプ氏が各国とどのようなディールを行っていくのかという点にある。日本に課される予定だった24%の相互関税はいったん停止されるものの、日本も含めた各国に課した一律10%の関税については維持されているうえ、自動車関税25%もすでに発動済みだ。対日交渉の米側責任者であるベッセント米財務長官によると、米国に続々と交渉を依頼している各国の中で、米国はまず日本と優先的に交渉するという。

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