関税をめぐってトランプ大統領を訴えたリック・ウォルデンバーグさん。製品は米国で設計し、海外で製造し、輸入する=2025年7月31日、米イリノイ州、榊原謙撮影

 「トランプ関税」を違法とする判決が米国で相次いでいる。税を課せるのは国民の代表の連邦議会であって、大統領ではないという判断だ。訴えているのは、米国の中小企業の社長ら。「代表なくして課税なし」。一審で勝訴した原告の一人は、米独立戦争で掲げられた大義を自らの訴訟に重ねている。

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 7月末。米中西部シカゴ郊外にある3.3万平方メートルの巨大な倉庫を訪ねると、配送用の箱が次々と自動で組み立てられ、ライン上を流れていた。従業員が製品を中に入れると、箱の重量が自動で測られる。箱の送り先と中身の製品の重さが一致しなければ、自動でラインからはじかれる仕組みだ。

 「クリスマスシーズンには1日3.5万個を出荷するんだ」

 リック・ウォルデンバーグさん(65)は記者にそう説明し、顔をしかめた。「今年のクリスマスがどうなるかは、12月20日ごろまで分かりそうにないがね」

関税をめぐってトランプ大統領を訴えたリック・ウォルデンバーグさんの会社の倉庫。中国などから輸入した自社製品が出荷を待っていた=2025年7月31日、イリノイ州、榊原謙撮影

 米国を中心に100カ国以上で教育玩具を販売する「ラーニング・リソーシズ」を運営する。米国で設計した玩具を国外で製造し、米国に輸入している。経営は順調で、さらに大きな倉庫を建てる交渉を進めていた。

 だが4月2日、状況は一変し…

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