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5月6日、ニューヨークの裁判所に出廷するトランプ前米大統領=AP

 トランプ前米大統領が2016年の大統領選を前に、元不倫相手への「口止め料」の支払いを隠そうと業務記録を偽造したとして有罪の評決を受けた。法廷では何が争われたのか。

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 この事件は、トランプ氏の顧問弁護士だったマイケル・コーエン氏が、ポルノ女優のストーミー・ダニエルズ氏に13万ドル(約2千万円)の「口止め料」を支払い、コーエン氏に返済する際に「弁護士費用」として偽って処理したことに端を発する。

 検察側にとって、最重要証人はトランプ氏との関係を直接話せるコーエン氏だった。

 ただ、検察側はコーエン氏だけに頼ったわけではない。有名タブロイド紙の発行会社会長だったデビッド・ペッカー氏らも証人として呼び、トランプ氏が大統領選に立候補する際、女性問題が露見する前に口止め料を払って情報を買い取る計画をトランプ氏やコーエン氏と一緒に「共謀」していたことなどを法廷で詳しく聞いた。また、メールや電話などの詳細な記録も多数使った。

 これに対し、弁護側の戦術の中心は、コーエン氏の信用性を崩すことだった。反対尋問で過去の発言からの変遷や矛盾を追及し、最終弁論では「史上最高のうそつきだ」と批判。「コーエン氏の証言でトランプ氏を有罪とできない」と訴えた。

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