Canadians Fear Trump’s Tariffs Will Create a ‘Ghost Town’ in Ontario
米国との国境に接するカナダのオンタリオ州ウィンザーで労働組合の役員を務めるポーリーン・リドリーさんとコリーン・バレットさんの女性2人に、あなたの街が自動車部品メーカーを失ったらどうなるだろうと尋ねたら、即座にこう答えた。「ゴーストタウンになる」
ドナルド・トランプ米大統領が仕掛けた関税戦争で、カナダの自動車産業の首都とされるウィンザーの住民に不安が広がった。前途を憂慮する声の多くは、大規模な組み立て工場の命運に集中している。
ただ、ウィンザーの3大自動車工場には約5400人が働いているのだが、ウィンザーと周辺の郡部を含む地域には、中小の事業者による約100の自動車部品工場があり、約9千人が雇用されている。そして彼らの不安もまた同程度か、より深刻なものなのだ。
トランプ大統領が輸入車と一部の輸入部品に適用すると表明した25%の関税に対し、大手自動車会社は、事業への痛手を軽減するために予備費を活用することが可能だろうが、中小の自動車部品会社の多くには、そうした蓄えがない。
リドリーさんが労組の議長になっているKBコンポーネンツ社(KB Components)では現在、約100人が一時解雇を受け、その結果、ウィンザーにある同社の3工場で400人近い労働者がトヨタ、フォード、電気自動車メーカーのリビアンとルーシッド向けにプラスチック部品を成形している。
ほかの部品メーカーとその従業員にも関税措置の影響が急速に広がっている。自動車部品製造業協会(訳注:カナダの自動車部品製造会社の産業振興を担う全国組織)のフラビオ・ボルペ会長の推計によると、米国の関税措置後に一時解雇された労働者は1万2千人を超え、職場に呼び戻されたのは、その一部にとどまるという。
- 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」
トランプ米大統領の高関税政策が、カナダの自動車産業に影響を及ぼしています。何が起きているのか、NYT記者が現場を取材しました。
トランプ氏は自動車メーカー…