ブラザー工業は、2026年3月期の業績見通しで、「トランプ関税」の負担額を年間で215億円とはじいた。これに対し、値上げや原価低減などの対抗策をとり、前年を上回る営業利益を確保する考えだ。
米国で販売する製品について、日本や東南アジアなどの拠点から輸出するものに10%の追加関税、中国から輸出するものには145%の関税が継続すると想定した。近年、中国からの生産移管が進んだため、実際には145%が適用されるケースは少ないという。
対応策による増収効果は246億円をみる。値上げと販売促進費用の削減で半分、調達の工夫による製造原価や経費の削減でもう半分を捻出する。池田和史社長は「計画上は精緻(せいち)に作ったので、これを実行することだ」と述べた。
ただ、値上げなどによる販売減少のリスクも81億円、減益要因として盛り込んだ。
同社の25年3月期の営業利益は前年比40.4%増の698億円、純利益は73.1%増の547億円だった。26年3月期も営業利益730億円(前年比4.5%増)、純利益550億円(同0.4%増)を見込む。