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伊保木コミュニティセンターに隣接する児童公園の小屋で暮らすヤギの「さくら」=2025年4月3日午後0時58分、光市室積村、三沢敦撮影

 高齢者ら170人が1頭のヤギと暮らす海沿いの集落に記者が通い、いまの日本が抱える課題を見つめます。

 周防灘を望む山口県光市室積村の伊保木地区。4月12日の土曜日、地区内の五軒屋集落(自治会)の坂道を、住民が息を切らして上ってきた。

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 目当ては毎年恒例の花見会。坂の上にある長尾隆さん(75)宅で、6本のソメイヨシノが見頃を迎えた。シートを広げ、テーブルやいすを並べて、宴の準備が始まった。

 「ここまで来るの、大変ですいね」「死ぬかと思った」「何遍も休まんゃー」

 薄紅色の花びらが舞うなか、自治会長の上岡知雄さん(74)が乾杯の音頭を取った。「今年も花見ができたのう。来年も同じ顔ぶれで集まれるように。頑張りましょう」

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長尾隆さん宅の桜の木の下でお花見を楽しむ住民=2025年4月12日午前11時55分、光市室積村、三沢敦撮影
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手押し車を押しながら坂道を上ってきた住民=2025年4月12日午前11時30分、光市室積村、三沢敦撮影

 光市の最も東の端に位置する五軒屋集落で、花見会が始まったのは20年ほど前。当初は親睦のためだった。

 だが、自治会の中に自主防災…

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