ドイツのフランクフルト近郊で2023年7月21日、鉄道のレールの上を移動するアライグマの親子=AP

 ドイツで、アライグマが繁殖を続け、生態系に悪影響を及ぼすと懸念されている。害獣として捕獲・処分されたアライグマの肉をミートボールなどにして売り出したところ、観光客らの間で人気になっている。米CNNが報じた。

 CNNによると、「アライグマボール」を作っているのは、首都ベルリンの西にあるカーデで精肉店を営む、ミヒャエル・ライスさん。現在はミートボールのほかにサラミなど計7種のアライグマ肉製品を製造している。

 ライスさんによると、アライグマ肉の味は「皆さんが知っている他の肉とあまり変わらない。独特な味ではなく、他の肉よりも少し柔らかい」という。

 北米原産のアライグマは1920年代、毛皮用としてドイツに持ち込まれた。繁殖を続けて、いまでは都市部にもいる。ドイツ国内では約200万匹が生息していると推定され、在来生物多様性への影響も懸念されている。ほぼ全州で狩猟が認められているが、反対論もある。

 ライスさんは、食品見本市に出す目玉製品を考えていたところ、アライグマの加工を思いついたという。処分されたアライグマがただ廃棄されていることを知り、当局から加工許可を得て見本市などに出したところ、好評を得た。

 日本でもアライグマ問題は起きている。動物園から逃走したりペットとして飼い切れなくなったりしたアライグマが野生化して繁殖した。2005年には特定外来生物に指定され、現在はほとんどの都道府県で目撃されている。農林水産省によると、アライグマが原因の農作物被害は22年度で4億5600万円に達する。獣類の被害としてはシカ、イノシシ、サルに次ぐ額だった。(渡辺七海)

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