ドイツの総選挙で、「極右」とされる政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進しました。ドイツの近現代政治を研究する東京大学教授の板橋拓己さんは、「総選挙では、既成政党がAfDの土俵に乗ってしまった」と指摘します。欧州を覆う「右傾化」の波の中で、「反ナチス」を国是とするドイツはどこへ向かうのでしょうか。
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ドイツでは、歴史的な経緯もあり、他の欧州諸国に比べて極右政党が伸長しにくい土壌がありました。その中で、極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」が総選挙で20.8%の票を得て第2党に躍進したのは、衝撃的といえます。
AfDは、旧東独地域でとりわけ高い支持率を得ています。東西統一から30年以上が経ちますが、経済的・社会的・心理的な格差は残っていて、AfDがその不満の受け皿になっているのです。
もうひとつ重要なのは、旧東…