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ドイツの新しい首相になるメルツ氏=2025年4月9日、ベルリン、AP

 ドイツで中道右派「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」と中道左派「社会民主党(SPD)」の連立政権が6日に発足する。

 2月の総選挙で排外主義的な主張を掲げる極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進。経済は低迷し、ロシアのウクライナ侵攻に加え、トランプ米政権への対処など、ドイツは国内外に大きな課題を抱える。CDUのメルツ新首相率いる政権をどう見るか。ドイツ政治に詳しい東京大大学院総合文化研究科の森井裕一教授に聞いた。

  • 【そもそも解説】ドイツの新政権、どんな特徴? 待ち受ける課題は

 ――メルツ新政権をどうご覧になりますか。

 これまでのCDU・CSUとSPDの連立政権は「大連立」でしたが、今回はもう大連立ではなく、普通の連立政権です。その点で大きな改革はできない。ショルツ前政権もウクライナ侵攻で出ばなをくじかれましたが、メルツ政権は最初からロシア・ウクライナ問題、それからトランプ政権という大きな問題を抱えている。メルツ政権の出発は厳しいと思います。

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ドイツの新政権の主な課題と方針

 ――今回の連立協議は比較的早く進みました。

 ほかに組み合わせの選択肢がなかったというのが一番大きいと思います。AfDが大きくなり、SPDも自分たちがやる以外にもうないというので、協議を短くできたと見ています。

 ――政権発足前の3月に基本法(憲法)を改正し、防衛費の増額などのため、「債務ブレーキ」と呼ばれる財政規律を緩和する対応をとりました。

AfDの勢いはそんな簡単に止まらない

 トランプ政権がウクライナに…

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