トヨタ自動車野球部に新加入する高尾響投手=2025年2月12日、愛知県豊田市、辻健治撮影

 春が訪れ、スポーツの世界でも新たな戦力が加わる。社会人野球で昨年の日本選手権大会を制したトヨタ自動車には、広島・広陵高から高尾響投手(18)が入部する。昨秋のプロ野球ドラフト会議では指名漏れを経験したが、新天地での飛躍を誓う。

 福岡県出身の高尾投手は172センチ、74キロと上背はないものの、最速148キロの伸びのある直球を軸にした投球が持ち味の右腕。100年超の伝統を誇る広陵高で1年春からエースナンバーを背負い、2年春からは4季連続で甲子園のマウンドに立った。18歳以下の日本代表にも選ばれ、大舞台での経験が豊富だ。

 広陵高はこれまで大学進学後にプロ入りする選手が多かったが、高尾投手は1年でも早く夢を実現させようとプロ志望届を提出。しかし、指名されなかった。

 「いい経験ができた」。指名漏れについて高尾投手は言う。

 「悔しい思いもあったけど、すぐに切り替えた。『見返してやろう』と」。ドラフト会議の直後、チームメートに決意を述べた。「3年後、必ずプロに行けるように頑張ります」

 トヨタの藤原航平監督(45)は、下級生の頃から高尾投手に注目していた。「マウンドでの負けん気。いい顔をしていた。体は小さいのに大きく見えると思った」

 目を見張ったのはキャッチボール。「上からたたいてしっかり相手の胸に投げる精度と質の高さ。うちの投手陣と遜色なかった」という。

 藤原監督は就任以降、初めて…

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