2023年のドラフト会議で指名された徳島インディゴソックスの6選手=23年10月26日午後9時20分、徳島県藍住町、吉田博行撮影

20年目の四国独立リーグ

 夢舞台に羽ばたいた選手のサイン色紙が、球団事務所の壁にずらりと並ぶ。四国アイランドリーグplus(四国ILp)の徳島インディゴソックスは、プロ野球ドラフト会議において、11年連続で指名選手を輩出してきた。独立リーグの球団としては突出した数字だ。

 いま、徳島は編成と育成の両面で好循環が生まれている。

 2015年に就任した南啓介社長(41)は球団経営だけでなく球場設営、営業のほかスカウティングもこなす。「就任した当時は、選手30人ほどのうちNPB(日本野球機構、プロ野球)入りを目指していたのは2人くらいだった」と笑う。

 現在は全選手がNPBを目指して汗を流し、切磋琢磨(せっさたくま)を続ける。遠征帰りでも、昨夏完成した室内練習場で夜中3時ごろまでトレーニングする選手もいるという。

 徳島は、四国ILpで22年後期から24年後期まで、5期連続で優勝を果たした。なぜ、ここまで能力の高い選手が集まるのか。

 転機は2019年だった。その年のドラフト会議で岸潤一郎(現西武)ら3人が指名された。3人以上の同時指名は初めてだった。「積み上げてきたものが、数字で出た」と南社長。それまで独立リーグを疑心暗鬼で見る空気感もあったが、「その年を境に選手同士で紹介してくれたり、高校や大学の監督さんとのつながりで連絡が来たりするようになった」と言う。

 選手育成にも特徴がある。

 入団した選手たちに向けて、必ず課されるのが数値目標だ。「筋トレBIG3」と呼ばれるスクワット、デッドリフト、ベンチプレスの3種目で計500キロ。「これがNPBでのフィジカルスタンダード」(南社長)。一流のレベルで競い合うために最低限必要なノルマだと考えた。

 今年のドラフト指名候補に挙…

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