ニデックは16日、工作機械大手の牧野フライス製作所への株式公開買い付け(TOB)をめぐって、牧野側が発動を決めた対抗措置について、差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。ニデックが昨年末、事前交渉を一切しないままスタートさせた異例のTOBは法廷闘争に発展した。
仮処分申請についてニデックは詳細を明らかにしておらず、理由や経緯について「後日、ホームページに掲載する資料で説明する」としている。
牧野側の対抗措置は新株予約権の発行で株式を希釈化し、ニデックによるTOB後の完全子会社化を難しくするもの。別企業からの買収提案と比較検討する時間確保が目的で、今月4日に始まったTOBがいったん撤回されるなどした場合は発動を中止するとしていた。一方、ニデックは「経済的損失が出る可能性があり、法的手段を含めて必要な措置をとる」(荒木隆光専務)と反発していた。
牧野フライスの宮崎正太郎社長は16日、東京都内の展示会場で記者団の取材に応じ、ニデックのTOBについて「(延期を)再三お願いしたのに強行されたのは大変遺憾」と語った。第三者からの正式な買収提案は「TOBが終了する5月21日には間に合うと確信している」とした。