2025年7月28日、ガザで撮影された栄養失調に苦しむ生後7カ月の子供=AP

トーマス・フリードマン

 7月26日、イスラエル紙ハアレツがこんな見出しを掲げた。「戦争659日目。イスラエル側の銃撃で、支援物資を待っていた人を含む少なくとも25人が死亡したと、ガザの医療関係者」

 (パレスチナ自治区)ガザの情勢を注視している人なら、ハアレツが何週間も、毎日ほとんど同じ見出しを掲げていることを知っているだろう。違っているのは、ガザでイスラエルが配る食料援助を待っている最中に殺害されたパレスチナ人の数だけだ。こうした記事が積み重なっていくのを見て、1カ月ほど前にイスラエルが、イラン国内の自宅やオフィスにいた軍高官10人と核科学者16人の暗殺に成功したことを思い出した。テルアビブから1200マイル(約2千キロ)も離れたイランの標的をピンポイントで攻撃する能力を持つイスラエルが、テルアビブからわずか40マイル(約60キロ)先のガザで飢えている人々に安全に食料を届けることができないとは。

それは、偶然ではない

 それは、偶然には思えなかった。過激なネタニヤフ政権の内部で進行している、もっと深刻で、もっと恥ずべきことがもたらした結果のように思われた。ベングビール国家安全保障相のような、ネタニヤフ首相率いる極右連立政権の主要メンバーは、ガザのパレスチナ人をガザから完全に追い出すため飢餓に追い込む政策を公然と進めてきた。ネタニヤフは米国がそこまでは許さないことを知っていたが、自身の政権に引き込んだユダヤ至上主義者たちに追い落とされることを防ぐために、最低限の援助しか提供しなかった。

 それはあまりにも少なすぎた…

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