何度注意しても、ハトやカラスへの餌やりをやめない人物に大阪市が4月、動物愛護法に基づく餌やりの中止を命令した。市によると、ペットなどへの虐待防止が柱の動愛法を適用するのは異例で、行政処分までに3年を要したという。動物への度を過ぎた餌やりに悩む自治体は少なくなく、今回の事例がモデルケースになるのか注目されている。

 16日午前6時ごろ、JR大阪駅から約11キロ南にある大阪市住吉区のJR我孫子町駅前。

 10羽ほどのカラスがマンションの上階付近で「カーカー」と鳴いていた。ハトは数羽が道ばたで何かをついばんでいる程度で、群れは確認できなかった。

 毎朝近くのコンビニに新聞を買いに行くという住民男性(73)は「ちょっと前までは駅の高架に100羽ほどがとまり、その下はふんや羽根がひどかった。ずいぶんましになった」。

 近くで飲食業を営む男性(46)も「衛生的に悪く、毎朝掃除が大変だった」と話す。区によると、命令以降、駅周辺の餌やりの苦情は「大幅に減った」という。

JR我孫子町駅前では、数羽のハトしか確認できなかった。住民によると、以前は奥に見える高架に、ハトが群れをなしていたという=2024年5月16日午前6時4分、大阪市住吉区、三浦淳撮影

 市によると、我孫子町駅や大阪メトロ長居駅の周辺では、少なくとも5年以上前から、ハトやカラスの餌やりへの苦情が相次いでいた。

周辺住民の7割超が「日常生活に支障」

 市は2019年12月、住民…

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