これはハニワと土偶の展覧会ではない。何しろ出品されている実物はハニワが2体で土偶はゼロ。近代以降、絵画や彫刻として、あるいはメディアで表現されてきたハニワなどのイメージを通し、時代を読む美術史展、検証展だ。
展示構成は明快。「万世一系」の天皇家を仰ぐ明治になり、ハニワは神話イメージの源泉となり、ときに身近な存在として描かれることも。皇紀2600年の1940年前後には雑誌などを通じて戦意高揚に貢献し、一方で抽象絵画への統制が厳しいなか、具象性と抽象性を併せ持つ造形が隠れみのになったという。
戦後は一転し、皇国史観とは…