5月、大阪府池田市の住宅街に、ハムの工房がオープンした。工房の名は「HAM YOKOYAMA」。フランスでの修業経験がある横山拓哉さん(46)が、腕によりをかけてハムを作っている。ある目標を掲げてきた横山さんにとって、工房は長年の念願だった。
横山さんは、中学生のころから料理人になりたいと思っていた。高校卒業後、お好み焼き店、パン店、イタリア料理店と働いてきた。
ほどなく結婚、妻と行ったフランス料理店で、出されたハムのおいしさに驚いた。
シェフに聞くと、店はハムを一から作っているという。飲食店は市販のハムを使うもの、と思い込んでいた横山さんには衝撃だった。
その店で働かせてもらい、ハム作りを学んだ。技を身につけたいと知り合いに話していたら、こう言われた。
「フランスに行かなきゃダメだぞ」
その頃、生まれた息子にはダ…