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2024年7月31日、米ヒューストンでの集会で演説するハリス副大統領=AP

 民主党の次期大統領候補がバイデン大統領(81)からハリス副大統領(59)になったことで、戦略の見直しを迫られているのが共和党のトランプ前大統領(78)だ。トランプ氏の陣営からは、高齢への不安が露呈し、明らかに失速していたバイデン氏の方が戦いやすかったとの本音が透ける。

「バイデン氏のような重荷を抱えていない」

 不意打ちを食らった――。バイデン氏の撤退後、共和党の副大統領候補J・D・バンス氏(40)が非公開の場でそう語ったと米紙ワシントン・ポストは報じた。「ハリス氏ははるかに若く、バイデン氏のような重荷を抱えていない」と述べ、より難敵になるとの見方を示したという。

 トランプ氏が選挙戦を優位に進めてきた背景は、トランプ氏の「強さ」というより、むしろバイデン氏の「弱さ」だった。だが、候補者の交代でトランプ氏は高齢問題という最大の攻撃材料を失い、むしろその矛先が、78歳のトランプ氏自身に向けられかねない状況になった。

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2024年7月31日、米ペンシルベニア州での集会で話す共和党のトランプ前大統領=ロイター

 そこでトランプ氏はハリス氏を「極左」と位置づけ、攻撃する戦略に転じた。左派色が強い勢力から穏健派まで、民主党は多様だ。その中でハリス氏が急進的な左派だとは必ずしも言えないが、そう決めつけるのがトランプ氏の最近の定番だ。

 やり玉に挙げるのは、移民の…

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