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ワイキキビーチの夕暮れ
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 大阪府に住む男性(72)は2011年、米ハワイ・ワイキキにあるホテルの部屋の所有権を約500万円で購入した。1年のうち1週間を1口として所有権を購入する「タイムシェア」だ。

1ドル75円で買った夢

 百貨店で買い物をしていてホテル側の説明会に誘われ、「夢をかき立てられた」という。もともとハワイが好きだったが、戦後初めて1ドル75円台をつけるなど、この年の記録的な円高も後押しした。

 家族らと10回近くハワイを訪れたほか、会員に与えられるポイントを使って日本国内の観光も楽しんだ。だが2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行に伴って旅行の機会が減った。さらに自身も大病を患って体力を失った。

 それでも管理費を支払い続けていたが、このところの円安と物価高で年間負担額が30万円を超えた。

 「ようやく売る踏ん切りがついたよ」

 持っているだけで年間30万円超の管理費が出ていく事態に、男性は売却を決意します。しかし、厳しい現実が待っていました。円安で日本人の買い手がおらず、米国人にもワイキキは人気がありません。こうした「売れないタイムシェア」の実情に迫っていきます。

「100ドルでもいいから売りたい」

 男性や妻(67)はホテル側…

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