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ハンガリーのオルバン首相の与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」が議会に提出した「公共生活の透明性に関する法案」への抗議デモに参加する人々=2025年7月8日、ブダペスト、寺西和男撮影

 自国第一主義を掲げるハンガリーのオルバン首相が率いる政権与党が、国外から資金を受ける団体などの活動禁止を可能にする法律の導入を検討している。外国からの影響力排除が理由だとしているが、与党の劣勢が伝えられる来春の総選挙を控え、政権に批判的なNGOやメディアを抑え込む狙いもあるのではないかと警戒されている。

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 「民主主義を!」「汚い(与党の)フィデスは去れ!」。首都ブダペストで7月、市民団体などの数百人が行進した。オルバン氏の右派政党「フィデス・ハンガリー市民連盟」が5月に議会に提出した「公共生活の透明性に関する法案」への抗議デモだ。

 法案は国の政策決定に影響を与え、主権を脅かす可能性がある活動を行う団体などを登録する仕組みを設ける。その団体が国外からの資金を受け取る場合は事前許可を求め、違反行為があった場合は当局が罰金を科したり、活動を禁止したりできる内容だ。

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集会で演説するハンガリーのオルバン首相=2024年6月1日、ブダペスト、寺西和男撮影

 政府のコバチ報道官は声明で「外国の隠れた影響力に対抗することで国家の主権を守る」と説明。ロシアに融和的なオルバン政権は欧州連合(EU)のウクライナへの支援などに反対しており、「(法案は)ウクライナのプロパガンダに効果的に対抗する最良の手段だ」としている。

 政権は昨年、国外から資金援助を受けて世論に影響を及ぼす活動をする団体を調査する機関「主権保護局」を設けて圧力をかけている。法案について、国外から資金援助を受ける、政府に批判的なNGOや国外に購読者がいる反政府系メディアを抑え込むのに使われるのではないかとの懸念が出ている。

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