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米ワシントンで10日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で加盟国首脳らと写真撮影に臨み、拳を上げるバイデン大統領=AP

 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が10日、採択した首脳宣言には、焦点となっていたウクライナの将来のNATO加盟について、「不可逆的」の言葉が盛り込まれた。

 「我々は、NATO加盟を含む完全な欧米統合に向け、不可逆的な道筋を歩むウクライナを引き続き支援する」という文言だ。「ウクライナの未来はNATOの中にある」「加盟国が同意し、条件が整えば加盟招待を出す状況になる」という昨年のあいまいな首脳宣言の表現もそのまま残っているが、NATOとしてウクライナの安全を担保する方向に向け、一歩、踏み込んだ形で決着した。

 NATOには一加盟国への攻撃を全体への攻撃として扱う集団防衛の規定がある。2014年にクリミア半島を一方的にロシアに併合されたウクライナでは、NATOとの関係強化を求める世論が強まり、加盟を切望してきた。

 NATOとしては、ロシアと直接戦う事態を避けるため、ウクライナでの戦闘が続くうちは加盟させることはできない。ただ、ロシアの脅威が切迫した東欧やバルト三国のほかフランスなどは、加盟の時期を具体化するなど明確な道筋を示すべきだと主張してきた。一方、ロシアを過度に刺激したくない米国やドイツは慎重で、NATO全体として玉虫色の表現にとどまってきた経緯がある。

 「ウクライナの加盟への道筋と(NATOとの関係強化を図る過渡的な)『架け橋』は、もはや不可逆的であるというメッセージを、ここからクレムリン(ロシア大統領府)に送ることが重要だ」。フィンランドのストゥブ大統領は10日、記者団にこう述べた。

 米紙ワシントン・ポストなどによると、ウクライナの早期加盟を後押しする国々が「不可逆的」という言葉にこだわったのに対し、バイデン米大統領は、首脳会議前の米政権高官との会議で複数回、この案を拒絶した。

 バイデン氏はウクライナへの…

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