バングラデシュの首都ダッカで昨年の政権崩壊を祝い、行進する学生ら=2025年8月5日、笠原真撮影

 反政府デモの末、15年に及んだ長期政権が倒れたバングラデシュの政変から5日で1年が経った。ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス氏(85)が率いる暫定政権は、総選挙実施への道筋の明示や行政改革などの期待された成果を出すのに時間がかかり、市民からは不満の声も漏れる。

  • 平和賞受賞のバングラ暫定政権トップ「前政権の裁判後に選挙する」

 「我々の勝利だ!」

 首都ダッカで5日、昨年のデモに参加した学生らが声を張り上げた。暫定政権は先月、8月5日を「蜂起の日」として国民の祝日にすると決め、記念式典や集会が開かれた。

 政変前まで街中にあった、ハシナ前首相と、その実父で「建国の父」と呼ばれたムジブル・ラーマン氏の肖像がほとんど見られなくなるなど、前政権の「痕跡」を消す動きも見られる。1年前に民衆がなだれ込んだ首相公邸は「記念博物館」として近くオープン予定という。

 公務員の採用枠の優遇措置を巡り始まった学生中心のデモは昨年7月、強権化したハシナ前首相の退陣を求める反政府デモとなって激化し、ハシナ氏はインドに脱出。国連は治安部隊による武力弾圧などで最大1400人の死者が出たと推定する。

進まない抜本的改革

 暫定政権の首席顧問には国際…

共有
Exit mobile version