「乳白色の肌」の女性像で知られる画家・藤田嗣治(1886~1968)の人気は近年極めて高く、今年も大型の藤田展が国内で相次いでいる。偉大な画家としての神話化も進みかねないなか、今展は「写真」を手掛かりに藤田像の再考を促す。
後期展示の現在は、写真を中心に藤田の絵画・版画を含む300点超の構成で、第1章「絵画と写真につくられた画家」には藤田を捉えた肖像写真や本人による自画像が続き、いきなり刺激的だ。
1913年にパリに渡り、20年代には、おかっぱ頭に口ひげ、丸眼鏡という姿で多くの写真家の被写体に。ファッション都市パリにふさわしく、ドラ・カルムス(マダム・ドラ)の「藤田嗣治」(25~29年ごろ、東京芸術大蔵、写真上)では、大胆な装いに身を包んで体をくねらせる姿を見せ、まさにパリの個性派芸術家のイメージが醸し出されている。
一方で、和装姿の写真や、す…