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パンダはまたやってくるのだろうか=2025年6月6日、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールド、吉岡桂子撮影

 4頭のメスのパンダが6月末、和歌山県から中国・四川省へ向けて旅立った。世界のパンダの所有権は中国が握り、期限を決めて有料で貸し出している。和歌山では連日、別れを惜しむ人の長い列ができていた。

 東京・上野動物園で生まれた双子の期限も来年2月に迫る。国交正常化を記念して1972年に来日して以来初めて、日本からパンダがいなくなるのではないか? そんな声が上がる。

 私は、この14年間で21カ国・地域にパンダを訪ねた。長年の取材に基づき、大胆に予測してみたい。

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別れを惜しむファンがつめかけた=2025年6月6日、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールド、吉岡桂子撮影

 東京はもちろん、和歌山もかなりの確率で再来の可能性があるとみている。

 まず、両方とも繁殖の実績がある。中国から「繁殖共同研究」を名目に借りている以上、重要な条件だ。

 続いて、和歌山の場合、メスばかり残されたため、知事を筆頭に「オスの貸与」を要請してきた。一方、中国側には「繁殖に適した新たなつがいと総入れ替えした方がよい」との意見があった。全頭帰還は既定路線と言えなくもない。

 上野について言えば、首都・東京のパンダ不在は日中関係の悪化を国際社会に印象づける。米中対立下にあって中国も長期の不在を得策とは考えないだろう。

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この日、2時間の行列だった=2025年6月6日、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールド、吉岡桂子撮影

 米国の例が参考になる。約2…

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