グローバルファンドの馬渕俊介さん=グローバルファンド日本委員会提供

 国際保健の具体策を掲げ、厚生労働省が8月にまとめたビジョンには「国内の課題解決にもつながり、国益に寄与する」と記された。日本が国際保健に取り組む意義はどこにあるのか。エイズ、結核、マラリアの3大感染症対策を担う国際機関「グローバルファンド」で保健システム・パンデミック対策部長を務める馬渕俊介さんに聞いた。

 ――ビジョンの中核には「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」があります。

 UHCは、すべての人が必要な医療を経済的な負担なく受けられる状態のことを指します。

 世界の、と言うと遠く感じてしまうかもしれませんが、日本も、自分も、その一部だと捉えてもらいたいです。

 例えば、質の高い医療サービスにアクセスできない地域があると、感染症の検知と対策が遅れ、感染拡大を抑えられず世界に飛び火し、パンデミックになる可能性がある。日本にとっても脅威です。UHCは、これから起こりうるパンデミックの対策にもなる。健康の安全保障の根幹にあるコンセプトです。

 ――日本が国際保健に取り組む意義もそこにあると。

 国内の対策と国際貢献はつながっていて、相互作用もある。ビジョンはその連動をうまく捉えています。

 次のパンデミックは「起こる…

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