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北海道
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 北海道別海町の牧場で21日朝、ヒグマに襲われたとみられる子牛4頭の死骸が見つかった。

 中標津署によると、死んでいたのは牧場の施設内で飼育していた12頭の子牛のうち4頭で、これとは別に4頭がけがをしているという。現場の周辺でクマの足跡が見つかった。

 現場は住宅から約100メートル離れており、同署はパトカーによる警戒などを続けている。

 北海道東部では昨年7月、牛66頭を襲った「OSO(オソ)18」と呼ばれた個体が駆除されている。

 被害にあった未来牧場の担当者によると、子牛12頭がいた施設の入り口は分厚いカーテンを下ろしており、ヒグマはそこから侵入したとみられるという。

 内部では1頭ずつ、ハッチに入れて育てていたが、襲われた子牛は引きずり出されるなどしていた。ひっかかれたような傷があったほか、死亡した4頭のうち2頭には内臓を食べられたような跡があった。他の4頭のけがの程度も重く、回復の見込みがないという。

 JA中春別によると、周辺で見つかったヒグマの足跡は17センチほどの大きさだった。

 今回の被害を受けて、別海町は21日、牧場の敷地内に箱わな1基を設置した。

 現場を確認したハンター歴40年以上の地元猟友会の男性は、「見たことのない現場だった」と話す。施設内には、子牛がクマにひっぱられたか、たたかれたのか、あちこちに血の跡があったという。

 今年の別海町はクマの出没が多いといい、地元の人には「夜、一人で出歩かないようにして欲しいと伝えたい」と話した。

 道ヒグマ対策室の担当者は「ヒグマがハウスの中まで入ってきたことが気になる」と指摘する。

放牧中など牛が単発で襲われる事例は珍しくないといい、「クマを誘引する原因が何かあったのか。これまでの周囲の出没情報はどうだったのか」と疑問を示す。今後、DNAのサンプルが採取できれば、これまでの出没情報などと情報をすりあわせ精査していくという。(山本智之、新谷千布美、原知恵子)

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