高エネルギー加速器研究機構(KEK)が携わった大型検出器について説明する戸本誠教授(左)=2025年4月7日、茨城県つくば市、鹿野幹男撮影

 米グーグルの創業者らが出資する財団主催の「ブレークスルー賞」が6日発表され、高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)が参加した素粒子研究の国際チームが選ばれた。

 ブレークスルー賞は2012年に創設され「科学界のアカデミー賞」とも称される。基礎物理学部門で、欧州合同原子核研究機関(CERN)にある大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で行われている四つの国際共同実験チームが受賞した。

 KEKチームは四つの実験のうち、万物に質量を与える「ヒッグス粒子」を12年に発見した「ATLAS実験」で主要な役割を果たし、加速器の超伝導磁石の開発や建設も担った。ヒッグス粒子の存在を予想した研究者は13年にノーベル物理学賞を受賞しているが、今回の賞はその後も実験を繰り返し、より詳しい性質を導き出した成果が評価された。

 7日に開いた会見でKEKの戸本誠教授は「国際協力でヒッグス粒子の物理を追究した点を評価いただき、研究者冥利(みょうり)に尽きる。研究を続けて、醍醐(だいご)味である未知の素粒子もぜひ発見したい」と喜びを語った。

日本チームも参加する「ATLAS」実験の検出器=CERN提供

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