伊藤博文が中国の黒竜江省ハルビンで安重根に暗殺された事件を描き、ヒョンビンさんやリリー・フランキーさんらが出演していることでも話題の韓国映画「ハルビン」が今月、日本でも上映が始まった。安は、韓国では日本の植民地支配に抵抗した朝鮮独立運動家の「英雄」とされているが、中国ではどう評価されているのか。現地に残るゆかりの場所を巡った。
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7月、東北部黒竜江省のハルビン駅。1番線ホームには、正方形のプレートと、三角形のプレートが埋め込まれている。正方形が伊藤が安重根に撃たれた際にいた場所で、三角形が安がいた場所とされる。その距離はたったの5メートルほどだ。
近くには「射殺事件発生地」という看板もあるが、中国人の乗客たちは気にとめることもなく、プレートの上を歩いていく。
同駅には、「安重根義士記念館」もある。「義士」は、中国では抗日戦争の歴史の中で日本に命がけで抵抗した人物に使われることが多い。館内では、事件は「民族解放の義挙」と説明され、安が事件前後の11日間にハルビンにいた際の行動などを、当時の写真を交えながら伝えている。
記事後半では、安重根が処刑された場所や、日本で安の取り扱いが課題となったケースを紹介します。
中韓関係に翻弄される記念館
中国が安や暗殺事件を取り上…