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Tシャツにジーパン姿で東京・丸の内のオフィスに出社する大手企業に勤める男性=2025年6月26日午後0時35分、東京都千代田区、寺沢知海撮影
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 白いTシャツにジーパン姿で東京・丸の内のオフィスに出社した男性(51)は、手元のスマホに目を落とした。

 気になるニュースがあると、無料のニュースサイトかユーチューブを開く。新聞は「興味があればネットで無料で見られる部分まで見る」が、これまで購読したことはない。

 大手企業で勤務し、新規事業開発の運営責任者などを務めてきた男性は1990年代前半の大学時代、インターネットの研究に熱中した。

 当時は大学にしかなかったコンピューターに触れるため、毎日、朝から晩まで教室にこもった。卒業後はNTTに入り、無線の研究開発に取り組んだ。

 時はITバブルの最盛期。サイバーエージェントの藤田晋氏ら同世代の起業家が脚光を浴びていた。

 IT事業をやるなら「(NTTのような)インフラではなくベンチャーだ」と、新卒5年後に、六本木ヒルズにオフィスを構えるモバイルベンチャー企業に転職した。その後はソフトバンクで事業開発を担うなどキャリアを重ねてきた。

「この人なら古い前提壊してくれる」と思ったのは

 IT業界を中心に渡り歩き、多くの新規事業を立ち上げ成果を上げてきた。経験から導いた成功への第一歩は「古い前提を壊す」こと。新規事業の最大の障壁となるのは「社内調整の壁」だ。

 古い大企業ほど社内調整に手間がかかる。「ダメな経営者は昔の成功体験にこだわって失敗する」

 そんな持論から、キャリアの期間とほぼ重なる「失われた30年」に低成長から抜け出せなかった日本の政治家は、まさに「ダメな経営者」に見えた。

 政治や社会への関心はあった。同時に、既存の政治家に対する不満は拭えなかった。

 そんなとき、「この人なら古い前提を打ち壊してくれる」と、ユーチューブの切り抜き動画で見つけたのが、広島県安芸高田市長を務めていた石丸伸二氏だった。

パラレルワールド@参院選【後編】

 世代や立場によって情報を得る手段が異なり、見える景色の違いから選挙のたびに分断が加速する昨今。「パラレルワールド(並行世界)」のような情報環境が広がるなか、普段テレビや新聞といった「オールドメディア」に触れない人たちに、今回の参院選はどう映るのでしょうか。ITベンチャーや大手企業でキャリアを重ねた50代の男性会社員に聞きます。

  • 【前編はこちら】28歳男性会社員、離さぬスマホ リベラルな自分を変えた負担と不満

「政治屋の排除」に共感

 予算の執行を「経済活動」と…

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