Saudi Money Makes a Big Splash in Video Games
サウジアラビアの首都リヤドでは、街路を埋め尽くした何千人ものファンたちが、カ氏110度(セ氏43.3度)という酷暑の中、ミスト噴射装置で涼を取っていた。街の中心部では、金色のトロフィーを模した、高さ30フィート(約9.1メートル)のレプリカが見物人の頭上にそびえ立っていた。伝統が律するこの国は、つかの間、色鮮やかな光の筋に包まれ、未来を感じさせる光景を演出していた。
リヤドで開催された「eスポーツ・ワールドカップ[Esports World Cup]」の第1回大会は、サウジの成長するビデオゲーム産業を世界にアピールする初の舞台となった。石油依存の経済の多角化を目指す計画の一環として、サウジ政府は、7000億ドル(現在のレートで約108兆円)の資産を運用する(政府系)ファンドPIF[Public Investment Fund]を通じて、2030年までにビデオゲーム産業に380億ドル(約5兆9000億円)を投資すると公言している。
そして今年7月からリヤドで開催された大会では、この方針を裏づけるサウジの資金力がはっきりと示されていた。それにとどまらず、同国のビデオゲーム市場への影響力は今や国境をはるかに越えて拡大している。この1年、大規模な人員削減など、ビデオゲーム業界が財政的な苦境に直面する中で、世界最大手のビデオゲーム企業や(業界に)影響力を持つ個人や組織、関係者の多くが、石油大国サウジとひそかに連携を進めてきた。
PIFが出資する企業「サビー・ゲームズ・グループ[Savvy Games Group]」は、企業買収をテコに、今やeスポーツ市場の40%のシェアを握っている、と同社広報担当者は話す(eスポーツというのは、プロゲーマーたちがビデオゲームで対戦する勝ち抜き戦のことだ)。PIFとその子会社群は、すでにゲーム会社の買収に約60億ドル(約9200億円)、さらに企業への資本参加に140億ドル(約2兆2000億円)を投じた。
「彼らは無尽蔵の資金を投じて、ほぼ全ての望みを実現させている」と、ビデオゲームとeスポーツのアナリストであるロッド・ブレスラウ氏は語る。
- 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」
サウジがゲーム分野に投資することに対して、「ウォッシング」だと批判する人もいる、とNYTは報じています。人権問題などを取り繕うための目くらましだ、との見方です。
一部には、こうした投資を「…