半世紀に及ぶ建築業で、不要な端材がたまっていた。コロナ禍で時間が余る中、思い浮かんだのは子どもの時から好きだった木工。多種多彩な木製品を作っては無料で譲り、話題を呼んでいる男性がいる。
三重県伊賀市西高倉の建築会社長、豊岡賢さん(73)。20代半ばで会社を立ち上げ、仕事は順調だった。2020年、コロナ禍で感染防止のため施主との対面を避けるようになり、2カ月ほど仕事を休んだ。30代の時に購入したが、多忙で眠らせていた木工ろくろを思い出した。
端材はヒノキやスギ、キリ、クリ、ヒバなどたくさんある。コースターを手始めに、八角形のゴミ箱やまな板、トレー、皿、ボウル、カップ、花入れなど10種類以上作った。パーツを木工用接着剤で貼った寄せ木細工の作品も多い。設計図はなく、頭の中で描く。知り合いから「自分だけ楽しんでいるのはもったいない」と言われ、倉庫を改造した展示室に置くようになった。
特に好評だったのは
脳梗塞(こうそく)の高齢者…