(24日、第107回全国高校野球選手権静岡大会準々決勝 聖隷クリストファー3―1御殿場西)

 1点をリードされた七回裏1死二塁。御殿場西の選手がマウンドに集まった。左腕のエース杉本迅投手(3年)は金原武嗣(むつぎ)捕手(3年)に声をかけられた。「悔いが残らないよう出し切って、思い切って投げてこい」

 聖隷クリストファー打線をこれまで5安打2点に抑えていた。3番の武智遥士(はると)選手(3年)にフォークを振らせようとしたが抜けてしまい、はじき返され3点目を失った。杉本投手はこの回でマウンドを降りた。

 2日前、昨年の優勝校・掛川西を被安打3で完封した。「体の重さは感じなかった」というが、この日は制球が安定しなかった。

 力みのないフォームから投げる球は、回転数が多く力がある。入学時は球速120キロに満たなかったが、竹内健人監督らの助言を受け、体づくりや投球時の体の使い方を見直した。「制球が悪くて試合が成り立たないくらいだったけど、エースになるまで急成長した」と金原捕手は話す。

 ベンチからはノーサインの野球を貫いた御殿場西。安打2本を放った杉本投手は「選手だけで試合を組み立てるのは難しかったけど、ちゃんと考えられるようになった。自分のピッチングも成長できた」と振り返った。

 「打たれた球は失投で、ちょっと悔いがある。後輩たちには自分たちより上を目指してほしい」

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