運営する障害者グループホームで、食材費の「ピンハネ」や国などから支払われる障害福祉サービス等報酬の不正請求を組織ぐるみで繰り返していたとして、運営会社「恵」(本社・東京)に厳しい処分が下された。不正の実態は障害者を食い物にする悪質なものだった。
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数切れの魚肉ソーセージともやしの炒め物、大根の薄切りとわかめが少し浮いている程度のみそ汁に、茶わん1杯のごはん――。北関東にある恵のGHで提供された、ある日の夕食だ。
魚肉ソーセージは安くて重宝する。調理場に常備していた。ごはんの量は男性180グラム、女性160グラムと厳格に決まっていた。おかわりは禁止。10分もしないうちにみんな食べ終わる。量が足りないのか、入居者の男性がスプーンを投げつけたが、誰も取り合わない。
スタッフだった女性は取材に対し、「見かねて米を多めによそったら上司に叱責(しっせき)された。『本社からお金が来ない。これで何とかして』の一点張りだった」と振り返る。水道の使用ができない夜中にトイレの便器に顔を突っ込み、水で空腹を満たそうとする入居者も。暴れれば抗精神病薬を飲ませ、寝かせていたという。
「前代未聞だ」市幹部は絶句した
「本社からの指示で食事の量が少なく、体重が減った利用者がいる」
2022年2月、愛知県岡崎…