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フィリピンのサラ・ドゥテルテ副大統領の選挙集会に集まった市民=2025年5月8日、マニラ首都圏、大部俊哉撮影
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 フィリピンで、現マルコス政権への審判となる中間選挙が12日、投開票される。上院選では与党勢力が優勢を維持する見通しで、サラ・ドゥテルテ副大統領との対立が深まる中でも、マルコス大統領は信任をつなぎとめる公算だ。ただ、7月以降に上院で開かれるサラ氏への弾劾(だんがい)裁判で賛成票が弾劾ラインに達するかは微妙な情勢だ。

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 フィリピン選挙管理委員会によると、今回の選挙では、半数が改選される上院(定数24)のほか、下院や地方首長など計約1万8千のポストが争われた。大統領の任期は6年のため、2022年に発足したマルコス政権の折り返し地点となる。

 選挙戦では、経済政策や、南シナ海での対中強硬路線や日米との防衛協力の深化といった安全保障政策が主要な争点に挙げられたが、実質的に正副大統領の主導権争いの構図となった。

 22年の大統領選では「ユニチーム」を掲げ共闘した両者だが、徐々に亀裂が顕在化。今年2月には下院でサラ氏への弾劾訴追が可決された。さらに3月、強硬な麻薬取り締まりで多数の死者を出した「麻薬戦争」をめぐり父ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領が国際刑事裁判所(ICC)に引き渡され、サラ氏側は「弾圧だ」と反発。ドゥテルテ支持者を中心に政権批判の声が広がり、対立は決定的になっている。

 特に、両陣営が見据えたのは弾劾裁判の行方だ。

 サラ氏側の陣営は「副大統領を守る無罪票の獲得」を前面に掲げた。一方のマルコス氏側の与党連合は、上院の3分の2(16議席)の弾劾ライン確保のため、今回の改選で半数の6以上を得ることを目指した。

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