Zをつかめ:前編
ゴミが散乱する荒れ果てた都市に、見覚えのあるビルが立つ。「SHIBUYA109」。向こうから何か来る……ゾンビだ! 戦うしかない。手にした銃で。そして、チェーンソーで。もっと強い武器がいる? カギを握るのはゴミだ。拾うのだ、街の空き缶を、傘を、弁当容器を。届けるのだ、ハチ公に――。
モニターに流れるゲーム映像を見つめながら、子どもたちが夢中でコントローラーを動かしていた。11月下旬に東京都渋谷区の代々木公園で開かれたイベント。「拾ったゴミをハチ公に届けると、ポイントアップするからね」。傍らで見ていた野田慶多さんが助言した。
イベントを企画したのは渋谷区の外郭団体で、街の美化などに取り組む「渋谷未来デザイン」。ボランティアとゴミ拾いを重ねてきたが、「人の意識から変えたい」と理事の長田新子さんは思った。
特に訴求したいのが若者と外国人だ。どう伝えたものかと思案していた時に野田さんと知り合った。オンラインゲーム「フォートナイト」を通じた手法を提案された。
フォートナイトは複数のプレ…