上谷さくら弁護士

 元タレントの中居正広氏が起こした女性とのトラブルについて、フジテレビの一連の対応をめぐり、同社と親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)が設置した第三者委員会が31日、調査報告書を公表した。女性がフジのアナウンサーだったと明かしたうえで、女性が中居氏から「業務の延長線上」で性暴力を受けたと認定した。報告書をどう見るか。性暴力に詳しい上谷さくら弁護士に聞いた。

 報告書はよく調べたという印象だ。法律家でなくてもわかりやすい。ただ、被害者が血を流さないと世の中が変わらない、ここまで被害者が頑張らなければいけなかったことは、被害者支援の立場として心が痛い。

「『業務の延長線上』の認定はとても重要」

 事案の経緯を見ると、被害者が追い込まれ、断りきれない状況になったことがわかる。他の人にも声をかけていると言って誘い、見つからないので2人でもいいかと聞く。お店を探すと言っておきながら、実際には店に電話はせず、直前になって家に来ることを提案する。大物タレントと入社数年目の社員で、二人の間には権力関係がある。嫌だと言えない状況を作っている。活躍している権力者を敵に回すのは怖いし、上層部が大事にしていることもわかっている。被害が起きたのは、「業務の延長線上」と認定したことはとても重要だ。ノーは選べなかっただろう。

 これまで性暴力の事案に関わ…

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