フジテレビの清水賢治社長が、朝日新聞の単独取材に応じた。フジを象徴してきたキャッチフレーズ「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却を強調し、社員らの人権を重視する方針を示した。株主提案を次々に突きつけてくる米投資ファンドについては、「対決しているわけではない」として、対決構図を打ち消した。

インタビューに答えるフジテレビの清水賢治社長=2025年6月4日、東京都港区のフジテレビ本社、吉田耕一郎撮影

 清水社長は、元タレントの中居正広氏に関わる一連の問題発覚時に社長だった港浩一氏が1月27日に辞任したことを受け、社長に就任した。今月4日に行ったインタビューで、社長に指名されたときのことを尋ねると、かみしめるように言葉を並べた。

 「火中の栗を拾うと言うほど小さくないですよね。溶鉱炉の中に飛び込む感じですよ、もう本当に」

 3月27日にはフジと親会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の大幅な人事を断行。FMHの次期社長にも内定している。

 フジなどが設置した第三者委員会の調査報告書は、有力な番組出演者らと良好な関係を築くために、一部の社員やアナウンサーがハラスメント被害に遭うリスクが存在していたと指摘した。こうした指摘も受け、フジは次々に再興に向けたプランを発表。4月30日には、再生・改革に向けた八つの具体策を示した。その中で話題になったのが、「楽しくなければテレビじゃない」から脱却を目指すとした文言だった。

「人権侵害の可能性は一切排除しなきゃ」

 刷新感を打ち出した形だが、清水社長は「面白いもの、楽しいものを作るためにすべて犠牲にしていいという間違った考え方から脱却しましょうということです」と述べ、こう説明する。

 「面白いもの、楽しいものを…

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