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フジテレビ本社=2025年1月28日、東京都港区、朝日新聞社ヘリから、上田幸一撮影

 フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)は10日、同社株式の大規模な買い付け行為への対応方針を取締役会で決議したと発表した。旧村上ファンド系による株の大量取得が進められている状況に対し、事実上の防衛策を設けた形だ。

 FMH株をめぐっては、「物言う株主」として知られる村上世彰氏が関わる投資会社が6月25日のFMH株主総会以降も急速に買い増している。関東財務局に提出された変更報告書によると、4月3日時点で村上氏の長女野村絢氏の持ち分を含め11.81%だった共同保有比率は、6月25日に13.32%、同27日に14.35%となり、7月1日には15.06%まで上昇した。

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 FMHによると、村上氏らは今後も買い増しを続け、放送法が定める議決権割合の上限である33・3%を取得する可能性もあると示唆。また書簡で子会社のスピンオフ(切り離し)を検討することなどを求めている。グループの収益を支えるサンケイビルなどの不動産事業を指しているとみられ、村上氏らは、スピンオフした子会社の経営権取得を目指すとの考えも示したという。

 こうした動きについて、FMHは「株主共同の利益の観点ではなく、自身の利益の最大化のための行動に出ることを懸念している」と指摘。中長期的な観点から検討を進めてきた企業価値の向上が妨げられ、毀損(きそん)されるおそれが否定できないとした。

 対応方針では、議決権割合が20%以上となる大規模買い付けが行われる場合、他の株主がその影響を適切に判断するために、事前に趣旨説明書の提出を求めることなどを定めた。また、必要な手続きを踏まえた上で、対抗措置として新株予約権の無償割り当てを行うとしている。

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