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パリで2024年8月23日、仏大統領府でのマクロン大統領との会談に向かうリュシー・カステ氏=AP

 パリ五輪前の国民議会(下院)選挙で与党連合が大敗し、新内閣を発足させられない異例の事態が続くフランスで、新首相の指名が行き詰まりを見せている。マクロン大統領は23日から各政党の代表らとの会談を始め、政権運営を安定させるための連立の枠組みを探っている。

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 7月7日に決選投票が実施された下院選では、マクロン氏への批判の高まりを背景に与党連合が敗れ、第2勢力に転落。左派の政党連合「新人民戦線(NFP)」が最大勢力に躍進し、極右の流れをくむ右翼「国民連合(RN)」も政党単位で第1党になるなど、下院は過半数の289議席に届く勢力がなくなった。

 フランスでは、大統領が下院の最大会派の意向を踏まえて内政を担当する首相を指名する慣例があるが、下院の勢力が三つどもえに分裂したため、首相選出の見通しが立たず、現在は辞職した状態の暫定内閣が職務を続けている。

 マクロン氏は23日から仏大統領府で各勢力の幹部らと会談を開始。NFPが首相候補に推すパリ市幹部のリュシー・カステ氏は記者団に会談後、「我々は政権を安定させるための解決策を提案できる。連立に向けて準備はできている」と手応えを口にした。

 しかし、カステ氏が首相に選出されるかは不透明だ。与党連合や右派の共和党、RNはいずれもNFPに加わっている左翼「不服従のフランス(LFI)」を警戒。LFIの参加する内閣が成立した場合には不信任案を提出する方針を示している。LFIは年金改革や移民政策で現政権と対立する立場で、マクロン氏は「極左」と呼んで攻撃してきた。

 NFPも内部対立を抱えてい…

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